本日の日経新聞の記事に、ネットのトラフィック増が著しく、プロバイダ各社が値上げに転じるとあった。根拠は動画配信等でトラフィックが増え、設備投資がかかるからだという。私はこれは誤っている記事であると考える。

第一に、トラフィック増なのは事実だが、映像配信等のコンテンツ利用だけが原因ではなく、P2Pやスパム等、ネット上に不要な(不要/必要の基準は別途議論するとして)トラフィックが多い。「コンテンツ企業がただ乗り」しているという理屈は誤っている。

第二に、ムーアの法則により帯域あたりのコストは著しく下がっており、今後もその傾向は変わっていない。つまりプロバイダのコストは、上がる要素もあるが下がる要素も十分ある。車を通す道路とは事情が異なる。

第三はラストワンマイルとバックボーンの業界構造が未成熟で、ラストワンマイルは光やDSLの事業者は(サービスの悪い)NTTが牛耳り、バックボーン側もまたNTTやKDDIなど選択肢が限られる。

第四に、帯域が増えているのに定額料金なのはつらいというロジックが見られるのだが、ベストエフォートサービスなので定額なのは当然といえる。帯域保証は別途高価なサービスがあるがこれは通常の消費者のトラフィックにはなじまない。

これらの事情で、まだ帯域に対して割高なプロバイダ料金となっているわけで、安易な値上げ論が湧き出るのには疑問を感じる。

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